キム チャンフェ   KIM Chan Hoe
  金 賛會
   所属   立命館アジア太平洋大学  アジア太平洋学部
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2015/05
形態種別 論文(学術誌・プロフェショナル誌)
査読 査読あり
標題 苧環型蛇婿入譚の祖母嶽伝説と韓国―鉄文化の視点から―
執筆形態 単著
掲載誌名 日本近代学研究
巻・号・頁 48,83-132頁
概要 大分県豊後大野市には豊後国武将・緒方三郎惟栄の始祖誕生を叙述する「祖母嶽伝説」が存在する。この伝説は、����古事記����に見える苧環型蛇聟入譚に属する三輪山神婚説話と類似するもので、韓国の古代国の一つ、後百済国の始祖由来を叙述する「甄萱伝説」ともきわめて近似している。従来学界での苧環型蛇聟入譚についての研究は、����古事記����収載の三輪山神婚説話を中心に考察が行われ、豊後や日向地方を背景にしている「祖母嶽伝説」に中心を置いて考察した論考は皆無に近いといえる。そこで本稿では、豊後国と日向国を舞台とする、����源平盛衰記����や����平家物語����収載のいわゆる、「祖母嶽伝説」に焦点をあてて検討を試みた。特にその祖母嶽伝説が隣の国・韓国ではどのように展開されているのか、豊後国や日向国の祖母嶽伝説や民間伝承の苧環型蛇聟入譚との比較を通して、両伝承の特質を鉄文化の視点から明らかにしている。また従来、学界では日本には卵生型氏族神話や卵生神話が縁遠いものとされてきたが、民間伝承の苧環型蛇聟入譚のなかに密かに伝承されているのもはじめて指摘している。さらに後百済国の始祖王の甄萱に「山の虎が来て乳を飲ませて育てた」と記す����三国遺事����の記録についても従来の学界では、虎に対する韓国人の固有信仰として捉える傾向が強かったが、この趣向はすでに中国の雲南省の苧環型蛇聟入譚に見えるので、甄萱伝説への直接的な影響関係も検討する必要性が出てきた。